第3回 究極のナッシュビル・ガイド

07年08月19日
Link-USA

ミュージック・シティー ナッシュビル


日本では「ミュージック・シティー」として知られるナッシュビル、ブルーグラス・ミュージシャンであるわたしは1971年以来、何度来たことか…。この30年ほどは、ほとんど毎年ここを訪れている。でもこの街、なかなかどーして、音楽以外にも意外と面白い顔を持っている。



アメリカ南部への入り口であり、ジョージ・ブッシュよりも得票数の多かった『不都合な真実』のアル・ゴア元副大統領の地元であるナッシュビル。米国ニッサン本社も2006年7月にこの街にやってきた。ナッシュビルのメトロ・エリアの人口は約150万人で、現在も膨張をつづけている。


日本からひとっ飛び、アメリカ東南部へのゲートウェイ、ミシガン州 デトロイトからテネシー州 ナッシュビルまでは約500マイル、空路1時間半ほど。わたしはいつもこの間、窓側の座席からずっと地上を眺めつづけている。ミシガンからオハイオ州までの前半はただ平野がつづくのだが、ミシシッピ川の支流である大河、蛇行するオハイオ河が見えてくる。つくづく、緑一杯の広々とした土地、耕しさえすれば食べるには困らない、アメリカの底力を見る思いで、豊かな国だと感心する。オハイオ河の南側、ケンタッキー州に入ると丘が連なりはじめる。


もう何十年間も車で走りつづけたケンタッキー、州の愛称は優良な牧草地から名付けられた「ブルーグラス・ステイト」、わたしの専門とする音楽、ブルーグラスの故郷でもある。もちろん、あのフライドチキンの故郷でもあり、また一般の方には「ケンタッキー・ダービー」として知られるように、競走馬の産地として有名かもしれない。そういえば、ここで育ったあの名馬サンデー・サイレンスを育てたアーサー・ハンコックはブルーグラス・ファンで、サンデー・サイレンスをテーマにしたCDも発表していた。


そんな走り慣れたところも、空の上から眺めるとぜんぜん違って見えるものだ。地図とハイウェイを思い描いて空から辿ってみる…、そうこうしている内に飛行機はナッシュビルに着陸する。


ナッシュビル空港


ほかの空港と違うところといえば、空港内に2ヶ所、マイクが立っていること。そう、到着した人たちを音楽で迎えるためバゲージ・クレイムのところと、出発する人を送るためセキュリティー・チェックの横でときおりライブをしてくれるのだ。ときどき、いい若手ミュージシャンを見ることができるけれど、たいがいはスターを夢見てナッシュビルに集まってくる多くのミュージシャンのアルバイトだ。


この街のいろいろな顔を知るには、やはり車が不可欠だ。大都会や整備された観光地じゃないこんなところにこそ、その場でしか味わえない、さまざまな美味しさが隠れているのだから…。わたしのお勧めをクリアするにはレンタカーが必需品だ。お決まりのツアーもいいけど、せっかくのアメリカ、自由になって学生気分やセールスマン気分を味わうのもいいし、南部紳士を気取ってみるのもいい。


ホテル


そうだ、せっかく車があるのだから、ホテルもユニークなのがいい。


セールスマンや若いミュージシャンなら安モテルがお似合いだ。ナッシュビル中心街からI-65を少し北へ行ったトリニティー・レーンのジャンクション界隈には、あちこちのモーテルからその日の最安値レートが電光掲示板に高々と掲げられている。中には30ドルを切る所もある。小坂一也じゃないが、「うらぶれた気分で、ハートブレイク・ホテル」もおつなものだ。ただし、設備や雰囲気に値段相当の覚悟は必要だ。しがないミュージシャンには、これでも上等、寝るだけなんだから…!?


一方、南部紳士でいくなら、ダウンタウンのど真ん中、テネシー州唯一のトリプルAの五つ星、「ザ・ハーミテージ・ホテル」は250ドルから1650ドルまで、各種お部屋が揃っております。また、「ウィンダム・ユニオン・ステーション」は文字通り、ナッシュビルのユニオン駅に1900年に開業した由緒あるホテル。アリソン・クラウスのバンド名にあやかって一度は泊まってみたいが、200ドルはブルーグラス・ミュージシャンには不似合いだ。「オープリランド・ホテル」という怪物のようなアミューズメント・ホテルもある。


家庭的な雰囲気が味わいたければ、ベッド&ブレックファーストもお勧めだ。きっと、世話好きのおばさんがいて、サザン・ホスピタリティーを満喫することができるだろう。


ちなみに、フツーの旅行者なら、名の知られた2スター程度のモーテル・チェーンで60ドル台、3スターなら100ドル前後といったところ。わたしなら、せっかくのナッシュビル、フィドル(バイオリンの俗称)も弾くこともあって、ミュージック・バレイ・ドライブの「フィドラーズ・イン」を選ぶかな…。


さてと、ナッシュビルにお家も確保したことだし、この街の探訪に出かけるとしよう。


ブロードウェイの夜


日本からデトロイト経由でナッシュビルに着くと、だいたい夕方、レンタカーとホテルで夜となる。したがって第1日目は、手軽なところでナイトライフを楽しむことになる。


地理も不安な初日、まずはダウンタウンへ行くのが得策だろう。ナッシュビルのメインストリート、ブロードウェイはカンバーランド川に沿った1stからライマン公会堂のある5thまでの間、そりゃもう、あなたもカウボーイ気分。ここは、いわゆる、観光地なのだ(ただしアメリカ南部白人向け)。


あちこちのクラブからガンガンと音楽が鳴り響いている。酒場の前で馬をつなぎ、勢いよくスウィングドアを開けるつもり…、ほとんどどこも、チャージなし、フラット覗きに入って、バンドや雰囲気が気に入ればビールでも注文して聴いていればいい。有名なのは、かつてグランド・オール・オープリー会場だったライマンの楽屋と面していたという伝説の「トゥツィーズ」や「ロバーツ」、共に午前11時から深夜2時ころまで、目一杯のホンキートンク気分が楽しめる。玉石混交のアメリカン・ミュージック・ショウケースだ。


第3回 究極のナッシュビル・ガイド

▲トゥツィーズの店内


ただ、この、いわゆる観光地にも、ときどき、ミュージシャンたちを唸らせる音楽をやっているところもある。たとえば、上記「トゥツィーズ」の真向かいに、ブロードウェイの南側にある「ウルフィーズ・デン」(Wolfy’s Den)、美味しいバーガーと、フィドル・ジャズ&スウィングをノー・カバーチャージでバディー・スパイカーと友人たちが極上のミュージシャンズ・ミュージックを毎晩聴かせてくれた、こんなハプニングにも運がよければ出会えるのがミュージック・シティーの本骨頂だ。観光地のど真ん中にあるオアシスのような、つまり、ちょっと意識を持った(かな…?)お店として、とりあえず、わたしは必ず覗いてみることにしている。今現在は何をやっているのか、よく知らないけれど…。


この東西に走るブロードウェイから直角に伸びる一番通りから五番通りの北側、特に二番通り沿いは深夜まで、にぎやかな通りで、名物ではカントリーダンスの超有名な「ワイルドホース・サルーン」があったり、日本でもおなじみの「ハードロック・カフェ」から日本食の「一番」、「オールド・スパゲティ・ファクトリ」から全国チェーンの「フーターズ」まで、気楽に立ち寄れるところが一杯、みやげ物屋さんも深夜まで開いている。


この夜、ナッシュビルの無料タウン誌、『Nashville Scene』を手に入れておくのも、お忘れなく。音楽、芸術、映画、スポーツ、レストラン、なんでも最新の話題がキャッチできる。気の利かないホテルには置いてなくて、ダウンタウンのナイトスポットでは結構手に入れやすい。


日本から直行、第一夜は意外と目が冴えているもので、ダウンタウンで遊びつかれたあと、お腹がすいたらお勧めは「ハーミテージ・カフェ」(Hermitage Cafe)。一番通りを南へ、ハーミテージ通りに入ったすぐ(71 Hermitage Ave, Nashville, TN)のところだ。ロードムービーで見るような、まさに50年代のアメリカ、しかも、観光用ではなく、そのまんま、そこにある24時間レストラン&コーヒーショップ。昔のおねーちゃんがそのまま働き、メニューもそのまま、決して美味しくはないのもそのままだけど、ほんもののアメリカン・レストランを体験できるところだ。


ここは、かつてライマン公会堂グランド・オール・オープリーがあったとき、そこの出演を終えたミュージシャンたちが腹ごしらえに立ち寄ったり、ツアーに出向く前の集合場所だったという伝説の店だと、ミュージシャンから教えてもらった。しかし、もちろん、昔も今も、人が観光目的で立ち寄るところでは決してない、ホンモノの場所なんだ。


 


チャーリー永谷氏と行くカントリーミュージックツアー in U.S.A 2022年


チャーリー永谷氏と行くカントリーミュージックツアー in U.S.A 2022年

チャーリー永谷氏と行くカントリーミュージックツアー in U.S.A 2022年


 


ナッシュビルの観光スポット


ブロードウェイ Broadway


ブロードウェイ Broadwayナッシュビルのダウンタウンを通るメイン通り、ブロードウェイの1st Ave から 5th Ave の間には100件以上のライブバーが密集しています。
ブロードウェイは気軽に音楽を楽しめる通りです。
ブロードウェイ の詳細

ライマン公会堂 Ryman Auditorium


ライマン公会堂 Ryman Auditoriumライマン公会堂 ナッシュビル・サウンドの発信地 ダウンタウンの一角、レンガ色の建物がライマン公会堂で、若きカントリー歌手達の登竜門でした。
ライマン公会堂 の詳細

カントリー・ミュージック殿堂博物館


カントリー・ミュージック殿堂博物館空から見ると、ヘ音記号、窓には鍵盤… ナッシュビルのダウンタウンにある個性的な外観が特徴の建物。
街で一番の観光スポットともいわれるカントリーミュージックの博物館です。
カントリー・ミュージック殿堂博物館 の詳細

グランド・オール・オープリー The Grand Ole Opry


グランド・オール・オープリー The Grand Ole Opryアメリカ ナッシュヴィルのラジオ局WSMの番組「グランド・オール・オープリー」は、カントリー・ミュージックの公開ライブ放送で、アメリカのラジオ番組として最長寿の番組です。
番組の公開ライブは、1974年にライマン公会堂からミュージックバレーに移りました。
グランド・オール・オープリー の詳細

ミュージック・バレー Music Valley


ミュージック・バレー Music Valleyナッシュビル郊外のリゾート・エリア ダウンタウンから北東へ車で20分のところに”ミュージック・バレー”と呼ばれる人気のリゾート・エリアがあります。ナッシュビルでの人気の観光地です。
ミュージック・バレー の詳細

ナッシュビルの観光スポット一覧


 ナッシュビル観光案内所ザ・ディストリクト
  ミュージック・シティ・センター カントリー・ミュージック殿堂博物館
  ライマン公会堂ウォーク・オブ・フェイム
  ミュージシャン殿堂博物館ジョニー キャッシュ博物館
  国立アフリカ系アメリカ人音楽博物館NMAAM
  RCA Studio Bアセンド・アンフィシアター
  シャーマーホーン・シンフォニー・センター
 ブロードウェイ(ホンキートンク・ハイウェイ)
  トゥーツィーズレジェンド コーナー
  ロバーツ・ウエスタンワールドティン・ルーフ
  バレンタイン
 ミュージック・バレー
  グランド・オール・オープリーオープリー・ミルズ
  ジェネラルジャクソン・ショーボートサウンドウェーブス
 その他の観光スポット
  フリスト・ア-ト・ミュージアムテネシー州立博物館
  バイセンテニアル・キャピトル・モール州立公園
  テネシー州会議事堂アドベンチャー・サイエンス・センター
  パルテノン神殿レーン モーター博物館
  ナッシュビル動物園ザ・ハーミテージ
  ベル・ミード・ヒストリック・サイト & ワイナリー
  ジャック・ダニエルズ・ディスティラリー
 グルメ&ショッピング
  ブルーバード・カフェフォーク
  カフェ・ローゼパインウッド
  プリンシズ・ホットチキンハッティ B's
  グー・グー
  フィフス・プラス・ブロードウェイ
 
 スポーツ
  ニッサン・スタジアムテネシー・タイタンズ
  ブリヂストン・アリーナナッシュビル・プレデターズ
  ファースト・ホライズン・パークナッシュビル・サッカークラブ
 
 ミュージシャン
  ドリー パートン オールマン・ブラザーズ
  ジョニー キャッシュキース・アーバン
  トミー シムズテイラー スウィフト
 
 ナッシュビルのホテル一覧
  デラックス クラス  スタンダード クラス  エコノミー クラス
 
  ミュージック・ロードを辿る




 


ナッシュビル 観光ポイント マップ


 ⇒ 大きな地図で見る