テネシー州からケンタッキー州へ
アメリカに着いた翌日、6時間半ほどの運転。私が通っていた大学がある南部アパラチア山脈の中心部、テネシー州ジョンソンシティから隣の州、ケンタッキー州へ向かいました。アパラチアの山岳地帯を抜け、東テネシーを横断するカンバーランド台地 I-40 を通ってナッシュビルの手前で北上。ケンタッキー州オウエンズボロには International Bluegrass Music Museum(以下 IBMM )という国際ブルーグラス博物館があります。 IBMM と博物館主催の ROMPフェス (River of Music Party:川の側のミュージックパーティー)というブルーグラスフェスに参加しに向かいました。川の側、フェスの名前の由来通り、オウエンズボロのダウンタウンには東部ペンシルベニア州から西に向かってミシシッピ川に流れこむ大河、 オハイオ川が目の前にあります。オウエンズボロから眺めるオハイオ川を越えるとそこはもうインディアナ州です。
アメリカに着くやいなや 急いで向かったのは ROMPフェスの前にあった IBMM でのミーティングに参加するため。
IBMM の新しい博物館開設のため、アメリカ各地からブルーグラス業界のパイオニアやスタッフが集まりました。 ブルーグラスの歴史を伝えながら、これから何を残していき、何を創っていきたいかというテーマでのミーティングでした。
ブルーグラスの父と呼ばれる、ビル・モンロー
“Bluegrass has brought more people together and made more friends than any music in the world.”
-Bill Monroe

ブルーグラスはアメリカでも少数派の音楽で、そんな音楽がアメリカだけに留まらず世界各国(日本、ヨーロッパ全土、韓国、タイ等)に広まり根強く指示されている事、そしてブルーグラスのパイオニアたちはいわゆる貧しい南部の田舎の人でありながら音楽の感性を通じて世界から注目を受け認められた事、そのことにより世界と繋がっていると認識しているということ は、ブルーグラスの父であるモンローの言葉通り、根強いファンを持つ音楽の特別な力ように感じます。
国際ブルーグラス博物館

博物館には様々なブルーグラスにまつわる資料が展示されています。スコッツアイリッシュ文化があり、アフリカンアメリカン文化があり、フォークリバイバルがある中でブルーグラスがモンローらにより創られた過程や、音源、ステージにまつわる物、そしてライヴポスターの展示物等。(これらのポスター、どこか懐かしく感じながらもスタイリッシュなその木版印刷は今でもテネシー州ナッシュビルのブロードウェイで、昔ながらのやり方で作られています。アメリカで一番古い木版印刷所だそうです。)まさにブルーグラスのあらゆる資料が集められた博物館です。
ブルーグラスは伝わる音楽です。伝わる音楽がきちんと生活の中にあり、若い人に受け渡される、、IBMMミーティングの議題にもあったように、そんな意図をこの旅の初日から目の当たりにしたのがミーティング後にあったROMPフェスでした。
International Bluegrass Music Museum (IBMM)
ケンタッキー州のオウエンズボロのダウンタウンにあるIBMMではブルーグラスの歴史を学ぶ事ができます。ブルーグラスの歴史と現在が一望できるように様々な資料が展示されています。
http://www.bluegrassmuseum.org
テネシー州ジョンソンシティから国際ブルーグラス博物館への地図
388 miles(620km)約6時間の道程
筆者 プロフィール
井上ゆい子
東テネシー州立大学卒業。ブルーグラス音学科がある同校でブルーグラス特待生として4年間を過ごす。
帰国後、北米からミュージシャンを招聘しブルーグラス音楽を日本で紹介するため奔走中。 http://www.ann-grassroots.com/
次回 ⇒ River of Music Party フェスへ に続く
# 1 | 旅の目的 |
# 2 | テネシー州からケンタッキー州へ |
# 3 | River of Music Party フェスへ |
# 4 | MIPSOに会いにルイビルへ |
# 5 | フィドラー ケイシー・ドリーセンを尋ねて |
# 6 | フロリダ州ヴィロ・ビーチ Mike Block String Cam |
# 7 | Lake House |
# 8 | 日本人陶芸家でバンジョー奏者に会いに |