アメリカの香り
1975年。今からちょうど40年前。
それは私にとって、エポックメイキングな年だ!
当時の私は15歳。
父の仕事の関係で、故郷の名古屋から北海道北見市に移り住んでいた頃。
中学3年~高校1年の一番多感な少年時代を、北海道の片田舎で過ごしていた時期だ。
音楽で言えば”上田正樹 & 有山じゅんじ”の「ぼちぼちいこか」、”憂歌団”のデビューアルバムが発売された年。

上田正樹と 有山じゅんじの「ぼちぼちいこか」、憂歌団のデビューアルバム
小学生の頃からギターを弾き始め、当日流行りのフォークソングにのめり込んでいた私には、大きな変革期だった。
このアメリカの香り、特にアメリカ南部のいなたいブルースの香りのする歌とギターに脳天唐竹割りをくらったもんだ。
以後現在に至るまでアメリカの黒人音楽・ブルースやラグタイム・オールドジャズなどに傾倒して行く事になる。
Made in U.S.A.

Made in USA Catalog と Made in USA Catalog 2
そして本で言えば、「Made in USA Catalog」という日本初のムック本が発売された年でもある。
アメリカの衣料や雑貨、それこそナイフからキャンピングカーまでが紹介された、伝説のカタログ本だ。
この本の表紙にはその頃日本では「幻」だったリーバイス501のジーンズや、レッドウイングのワークブーツのリアルなイラストが描かれていた。

「幻」だったリーバイス501のジーンズ
ジーンズ・ジージャン・ワークブーツ、ギターに斧に金づち・ストーブ…
当時のアメリカのライフスタイルを紹介したGoodsを紹介するカタログ。
翌1976年から刊行された「POPEYE」の先駆けとなった記念すべき本である。

レッドウイングのワークブーツ
まだ見ぬアメリカのファッションやライフスタイルに想いを巡らせ、夢を見ていた15歳の少年。
この年に出会ったレコードと本が私のDNAに取り込まれ、40年経っても現在の私の骨格の中心になっているような気がする。

当時のアメリカのライフスタイルを象徴した いろいろなアイテム
中学のクラスメートで仲良しだった高橋信二郎君

あれからちょうど40年。
その高橋信二郎から、昨年の秋に一本の電話がかかってきた。
「大村、一緒にアメリカに行かないかい?」
彼は旅行会社に一時務めた後、北海道から突然沖縄に移住。
嘉手納基地第一ゲートの前にある「アメリカ屋」というアメリカ軍の放出品などを扱う店で働きだした。
私も二十歳の時に彼を頼って、その「アメリカ屋」に1ヶ月だけアルバイトをさせてもらった。
お客さんの三分の一はアメリカの現役の兵隊さん、三分の一は地元の人達、三分の一は本土からの観光客、だった。
さっぱり分からない英語と沖縄弁に、カルチャーショックを受けたものだ。
信二郎は当時まだ日本に返還されてそんなに長くない沖縄で(「車は左。人は右」などの標識もあった頃)アメリカの文化やファッションに触れ、その後独立して故郷の北海道北見市に自分で「MIX WAY」というアメリカンカジュアルを扱う洋服屋を始めた。
http://blog.livedoor.jp/pc_beagle/archives/1151251.html
http://www.kuleba.jp/shop/detail.php?id=2559
年間4~5回自分でアメリカへ出向き、自分の足で現地の店を廻り、自分の気に入った服や小物だけを直接買い付けして自分の店で売る!という、こだわりの店を24年続けている。
持つべきものは、同級生!
彼は頻繁にアメリカに行くので航空会社のマイルが貯まっており、それを私のアメリカへの渡航用に無償提供してくれるというではないか!
こんなありがたいチャンスは、聞いたことがない!
喜んで~~!
持つべきものは、同級生!
高校2年になる時に私はまた静岡に転校してしまったため、彼とは一緒に修学旅行に行けなかったっけ。。。
あれからちょうど、40年。
見た目はお互い50半ばの白髪とつるっ禿になってしまったけど、
「大人の修学旅行に行こうぜ~!」という、なんとも有り難いお誘いであった。
こんな話しを断る理由は見つかる訳もなく、二つ返事でアメリカへの買い付けの旅に同行させて頂くことになった次第だ。
次回 ⇒ ザビエル大村のニューイングランド見聞録 ~ボストンへ~ に続く
ザビエル大村 プロフィール

爆風スランプのドラマーファンキー末吉氏に見出され、2000年に「三井はんと大村はん」でキングレコードよりデビュー。
その後「三井ぱんと大村はん」と改名し、”涙と笑いの浪漫ショー”をコンセプトに全国のライブハウスで活動中。
ソロミュージシャンとしても2009年に日本のアコースティックギター界のレジェンド「中川イサト」氏プロデュースによるコンピレーションアルバム『Daybreak 2』に参加。現在も中川イサト氏と共に日本中のライブハウスで演奏活動を続けるかたわら、 全国各地で開催される「中川イサト・ギターセミナー」の准教授役としてセミナーをサポート。
個人でもギター教室を開催し、絶滅危惧的なラグタイム&ブルースギターなどの啓蒙・継承・普及に心血をそそいでいる。
53歳にして初めてのソロアルバム『Good Time Tonight』をリリース。
2014年よりアメリカ・ミネアポリス在住のギタリスト「Dakota Dave Hull」氏と一緒に、日本ツアーを行う。
2015年4月よりNHK Eテレ「いないいないばあ」の「ゆきちゃんのおままごと」コーナーの音楽を担当。
<ザビエル大村 気まぐれ通信> http://www.eonet.ne.jp/~xavier-ohmura/index.html