買付け品をボストンへ出荷しに

5月26日 アメリカ8日目
今日はキッタリーからボストン市内の運送会社まで、信二郎が今回アメリカで買い付けた商品(大型段ボール4個)の出荷に出かける。
第一弾でも書いたが、信二郎は、「MIX WAY」というアメリカンカジュアルを扱う洋服屋を経営していて、アメリカで買い付けた商品を日本で販売している。
早朝から出発の準備

ボストンまでは通常1時間の移動で行けるが、この日はその倍以上かかるかも?
それを見込んで朝4:00起き!
モーテルでしっかりパンとハム・チーズ、マックスウェルのインスタントコーヒーの朝食を摂り、今日の戦いに備える。
(私はほとんど横にいて何もせずボーッとしているだけだが…、腹は減る。。。)

エアコンの効かなくなった愛車(レンタカーだが)「白身号」(ナンバープレートが“463”)に重たい段ボール箱を積み込み、あれやこれやの準備をして、6時にいざボストンへ!

ボストンへ向けて出発

ハイウェイ95は予想通り早朝から車の量が多いが、ま、なんとか流れている。
が、ボストンに近づきルート1の一般道に下りた途端に、大渋滞に巻き込まれる。
アメリカについて初日に泊まったソーガスのモーテル前や、初めてWi-Fiを求めて入ったマクドナルドの前を、停まったり動いたりの超のろのろ運転で通過。
予想的中で普段の倍の2時間余りをかけて、8時にローガン空港の近くにある信二郎御用達の日系の運送屋へ到着。
すでにメールで出荷を予約しており出荷の手続きはスムーズに。
大きな段ボール箱はフォークリフトで運んでもらい、倉庫内へと。
事務所に通され、いつも信二郎の出荷を担当して頂いている地元在住の日本人女性の方と、久しぶりに日本語で会話。
そう言えば、アメリカに来てから8日ぶりに信二郎以外の日本人と喋ったなぁ~。
無事出荷も終わり、取りあえず一段落。やれやれ。
時間も出来たので、しばしボストン市内を散策することに。
ボストン美術館へ
彼女からいろいろ地元の情報を得て、憧れだった「ボストン美術館」へ向かうことにする。
やった~!
車か地下鉄かどちらで行くのが便利か相談したら、近くに出来たショッピングモールの広い駐車場(無料)に車を置いて、そこから地下鉄でボストン美術館まで行った方が早いし楽だし安いよ~!との事。
ラッキー!アメリカに来て、車以外の交通機関は初めて!
とりたてて乗り物オタクと言う訳ではないが、外国で電車に乗るのは楽しくワクワク!
さっそく最近出来たばかりというオレンジラインの「Assembly」駅へ向かう。 ボストンの地下鉄はNYより古く、アメリカ最古なのだそうだ。
ボストンの地下鉄に挑戦!

帰りも迷わないように、乗る駅と降りる駅を指で差して写真を撮っておく!
(画像をクリック頂くと大きな地図が“ビヨ~ン”と開きます)
まず現在いるオレンジ色の線の「Assembly」駅から「North Station」まで行き、そこで緑色のグリーンラインに乗り換えて「Museum of Fine Arts」駅へ。
この駅がいわゆる「ボストン美術館」の駅だそうな。
でもグリーンラインは血管のように枝分かれしているので、終点が「HEATH」行きに乗らなければあかん。
よっしゃ、無事にたどり着けるか? ちょっとした冒険だ~!だ~!だ~~~!

まずは高架になっている新しい「Assembly」駅から、「North Station」へ。
これは難なく乗車と下車。

乗換えの「North Station」駅で降りると、駅中にエリック・クラプトンの「Change the world」が響いている。
これが駅の中の放送なのか、誰かが大音量でラジカセでも流しているのかよく分からない。
すると、今度はサックスでジャズの音色が聞こえてくる。
これは駅構内で黒人の青年がサックスを吹きながら生で演奏をしていた。
あ~、地下鉄構内も思いっきりアメリカ~ンやなぁ~と裏切らずに思わせてくれるのだ。

なんともレトロな面立ちの2両編成の車両やおまへんか~。
行き先もラッキーなことに「HEATH」と書いてある。
これや!これや!
と、そそくさと乗り込む二人。


すいていたので座れたが、列車がカーブするたびに車両の連結部から「ギーコラ・キーン・キーン・ガガガァ~」と、もの凄い鉄のきしむ音が響き回る!
なんかあまりの音のデカさに、怪獣でも乗り込んでいるようで笑ってしまう。
そう言えば昔の日本の電車も、こんな凄まじい音がしていたような記憶が…
日本の地下鉄のイメージとは違って、途中通過する駅やプラットホームはどこも薄暗くて、狭い感じ。
まさに穴倉の中を走っている感が、満載だ。
しばらくするとこの地下鉄が地上に出て、間もなく「Museum of Fine Arts」駅へ無事到着。 ボストンの地下鉄は全区間が同一料金なので、乗る時はチケット確認があるが、下りるときはそのまま勝手に降りれば良いようだ。
で、駅へ降りてすぐに。


重厚な石造りの建物に、どでかい星条旗がたなびいている。
ボストン美術館へ入る

朝10時の開館時間と同時に着いたので、そんなに並ぶこともなく順調に大人$25(約¥3,000程)のチケットを買ってドキドキしながら中へ進む。

ドヒャ~ァァ~~~!!出たぁぁ~~!衝撃の第一撃!
最初の展示コーナーがいきなり「楽器の歴史」みたいな部屋。

で、最初に目に飛び込んできたのが「Larson Brothers」の「ハープギター」やおまへんか!!
なんの前知識もなく中に入ったので、いきなりのカウンターパンチで頭がクラクラ。。。
1900年前後に作られたギターですね。
普通のギターの6弦以外に低音弦がハープの様に加えられた楽器。
こんな風に演奏します。
https://www.youtube.com/watch?v=gYRHzPkdzUw
他にも年代物で美しい様々な弦楽器やら鍵盤楽器やら管楽器や打楽器やら…
こんな楽器までボストン美術館に展示されているとはつゆ知らず、楽器オタクにはたまらない幸先の良いスタートを切ったのだ~。
葛飾北斎 展

ボストン美術館の入り口の星条旗のところにも大きな垂れ幕があったが、特設会場では「葛飾北斎」展が行われていた。

これがまた、圧巻!
日本にいても見たことのない北斎の浮世絵が、どどどどど~~んと何部屋にも渡って見渡す限り!
それも超至近距離!
ちゅ~か、な~んのガードもなく、普通に額に入った状態で目の前に展示されている。
思わず信二郎と、「これ、本物だよな?」と言ってしまったくらい。
富嶽三十六景のいわゆる「赤富士」や、荒波の向こうに富士山が描かれた「神奈川沖浪裏」や、あれやこれや…
お化けの絵や北斎漫画に、それもこれも…
凄いコレクションの数々に、びっくら仰天!

浮世絵に描かれている三味線やお琴などの実物も資料として展示(しかも年代物)。

浮世絵の所々に書かれた”漢字”が読めて、「思いっきりジャパニ~ズ」!
めっちゃ、優越感なのだ~。どや、参ったか~!

誤字 発見
そうそう、面白いことがあった!
展示物の解説で「持統天皇」の説明がしてあるところがあったのだが、そこの説明文が「持」ではなく「特」になっているのを発見した信二郎。
これでは「持統天皇」ではなく「特統天皇」になり、間違っているよ!と、館内に居合わせた警備員に親切に教えてあげていたのでした!
紙に「持」と「特」の字の違いを書いて、分かりやすく説明する信二郎。
たったこれだけの小さい線があるかないかで、まったく意味が変わるとの説明を受け必至にメモを取る警備の人。
たぶんすぐにボストン美術館の研究員に報告することでしょう。
次回行った時にちゃんと修正がされていれば、それは信二郎の鋭い指摘のおかげです! ボストン美術館も、良い勉強になったことでしょうね。
数々の名画

北斎以外にもゴッホやルノアールやミレーやピカソや…
あの人この人の有名な絵画も間近で見られて大感激。
おまけにフラッシュをたかなければほとんど写真撮影もOKだそうで、こんなところもおおらかで思いっきりアメリカ~ンなボストン美術館なのであった。
また行く機会があれば、ぜひ「持統天皇」の字のチェックと、広すぎて見られなかった他の絵もゆっくり見に来たいなぁ~~!!
後ろ髪を引かれながら…
いや、後ろ髪を引かれてみたい(有るモノなら)…と思いながらボストン美術館を後に。
エアコンの壊れた「白身号」で帰還



長く暑い一日だった。
それにしても、蒸し風呂のような「白身号」はもう限界。。。暑すぎ~!
明日はまた渋滞を避けるため朝4時に起きよう。
そしてボストン空港のレンタカー屋まで、車を取り替えてもらいに行くのだ~!
ビールで、程好く酔っぱらいながら、そう心に誓うおっさん二人。
Life is Good !
But,
Life is Hot !!!
なのだ、トホホ。。。
次回 ⇒ ザビエル大村のニューイングランド見聞録 ~レンタカー交換,大西洋,楽器店~ に続く
ザビエル大村 プロフィール

爆風スランプのドラマーファンキー末吉氏に見出され、2000年に「三井はんと大村はん」でキングレコードよりデビュー。
その後「三井ぱんと大村はん」と改名し、”涙と笑いの浪漫ショー”をコンセプトに全国のライブハウスで活動中。
ソロミュージシャンとしても2009年に日本のアコースティックギター界のレジェンド「中川イサト」氏プロデュースによるコンピレーションアルバム『Daybreak 2』に参加。現在も中川イサト氏と共に日本中のライブハウスで演奏活動を続けるかたわら、 全国各地で開催される「中川イサト・ギターセミナー」の准教授役としてセミナーをサポート。
個人でもギター教室を開催し、絶滅危惧的なラグタイム&ブルースギターなどの啓蒙・継承・普及に心血をそそいでいる。
53歳にして初めてのソロアルバム『Good Time Tonight』をリリース。
2014年よりアメリカ・ミネアポリス在住のギタリスト「Dakota Dave Hull」氏と一緒に、日本ツアーを行う。
2015年4月よりNHK Eテレ「いないいないばあ」の「ゆきちゃんのおままごと」コーナーの音楽を担当。
<ザビエル大村 気まぐれ通信> http://www.eonet.ne.jp/~xavier-ohmura/index.html