時代を変えようとするパワーに満ちた アボット・キニー・ブルバード

トレンドの発信地として、アボット・キニー・ブルバード(Abbot Kinney Blvd)は最適なポイントだろう。その証拠に、ここにフラッグシップ店を設けるブランドは多い。「TOMS」もその一つだ。“One for One”モデルをつくり上げたTOMS は、アボット・キニー・ブルバードから世界中へ向けて、世の中が抱えているさまざまな問題と、それに対するささやかだけれど決して小さくはない取り組みの一つを投げかける。
TOMS

サンタモニカの南に広がるヴェニス・ビーチを背に5分ほど行くと、アボット・キニー・ブルバードにぶつかる。いまやL.A.を代表するショッピングエリアとなったアボット・キニー・ブルバードには、100以上のブティックやカフェが軒を連ねている。通り沿いに等間隔に立ち並ぶパームツリーの間を、ビーチからの潮風が吹き抜けるので、真夏でも心地いい。ここはL.A.のなかでも屈指の散歩道。一日中歩いても、見飽きることがない。




オーダーカウンターの右手には、コーヒー豆やオリジナルTシャツ、ソックスなどのアパレル、さまざまなデザインのサングラスがディスプレイされ、狭い通路の先にはパティオが開けている。アボット・キニー・ブルバードには、こういう造りの店が多い。そして、それぞれのパティオが個性的でとてもステキだ。


おしゃべりを愉しむ人、読書に夢中な人、PCのブラウザとにらめっこしている人……。
ともかく、みんな自分の部屋にいるような様子でくつろいでいる。
TOMS Shoes

このパティオの左手前には、シューズコーナーがある。コの字型に設えられた棚には、メンズ、レディース、キッズ用のカラフルなシューズが並べられている。そもそも、TOMSが誕生したきっかけはシューズだった。
TOMSを立ち上げたブレイク・マイコスキー氏は、アルゼンチンで休暇を過ごしていたある日、まだ使えそうなシューズを集めて恵まれない子どもたちに贈る活動をしている女性たちと出会う。シューズを渡す現場を訪れた彼は、“中古”のシューズを受け取って本当に喜んでいる子どもとその家族の姿を眼にして衝撃を受ける。「これこそが僕のやりたかったことだ!」。そう感じたマイコスキー氏は、エスパドリーユを丈夫なものに改良し、アメリカ人に向けて売り出すこと、そして、1足売れるたびに1足を子どもたちに贈ることを考えた。こうして2006年、“One for One”モデル「TOMS Shoes」が誕生した。
TOMS ShoesからTOMSに


TOMSの次の取り組み、そして未来が楽しみだ。
写真:桑田英彦 文:山本美砂
関連記事 ⇒「ロサンゼルス ファッションスポット 最新情報 2014 アボット・キニー・ブルバード」
著者紹介
桑田英彦 Hidehiko Kuwata
音楽雑誌の編集者を経て渡米。1980 年代をアメリカで過ごす。帰国後は雑誌、機内誌や会員誌などの海外取材を中心にライター・カメラマンとして活動。世界30カ国を旅して、観光地だけでなく、ライフスタイル、グルメなどを取材。またアメリカ、カナダ、ニュージーランド、イタリア、ハンガリー、ウクライナなど、海外のワイナリーを数多く取材。著書は『ワインで旅する カリフォルニア』『英国ロックを歩く』(スペースシャワーネットワーク)、『ミシシッピ・ブルース・トレイル』(スペースシャワーネットワーク)、『ハワイアン・ミュージックの歩き方』(ダイヤモンド社)、『アメリカン・ミュージック・トレイル』(シンコーミュージック)等。
山本美砂 Misa Yamamoto
長年に渡り美味しいワインと料理を求めて、アメリカ、イタリア、フランス、ハンガリーなどへの渡航多数。その経験をもとに、機内誌、雑誌などのライターとして活動を続けている。そのほか、『チャヤのからだにやさしいスイーツ』『チャヤのからだにやさしいデリ』(ともに講談社)などのマクロビオティックのレシピ本の企画出版、映画『旅立ちの島唄~十五の春~』(FDC)のノベライズなど、執筆実績は多岐にわたる。
アボット・キニー・ブルバードへの行き方
ロサンゼルス国際空港から車(レンタカー)で行く場合の一例です。