「月」の意を持つインディアンの聖地

ベンチュラから33号線に乗り換えて進んでいくと、山間のカシータススプリングス辺りから、石油採掘のポンプジャックが其処彼処で稼働していることに気付きます。それは山の頂上であったり、中腹であったり、道路際であったり、本当にすごい数です。さすがにどこを掘っても…ということは無いでしょうが、ここが資源の宝庫であることに変わりありません。改めて大陸の凄さを感じてしまいます。
そんなことに感心しているうちに、車は本線を外れて脇道をどんどん進んでいきます。舗装こそされていますが、いったい誰がこの道の先に人の暮らすコミュニティーがあると想像するでしょうか…。まるで人の往来を拒んでいるような、そんな細い道を走り続けます。そうなのです。オーハイは先住民族のチューマッシュ族が崇め祀る聖地なのです。私たちは今、その入り口に踏み入ったのです。

メインランドでスピリチュアル・スポットと言えば、セドナやMt.シャスタがその名を知られていますが、手付かずの自然がそのまま残るオーハイも、かねてよりスピリチュアルな場所としてニューエイジを中心に知られてきました。「オーハイ」とは、“月”を意味するインディアン語なのだそうです。
日本でも馴染みのある風水学では、『大地を走る生気の通り道を「龍脈」と呼び、その龍脈上で良い気(エネルギー)が湧出する場所を「龍穴」と呼ぶ』のだそうですが、インディアンたちも同様に天地に通じる特別な強い力を感じとっていたに違いありません。オーハイに暮らす人々は、自然と共存しながら生きてきたインディアンに敬意を払い、この土地を絶対に開発しないといいます。

緑あふれる牧場、オリーブの畑、果樹園、見渡す限り長閑な光景が広がり、時の流れが違って感じるこの町は、今は富裕層の避暑地として利用されていますが、決して華美ではなく、むしろ慎ましいという表現の方が相応しい場所かもしれません。わざわざ飾り立てなくても、それに勝る自然が満ち溢れているのですから。この小さくも品良くまとまったオーハイの和やかな風情の中にいるだけで、気持ちに和みが生まれてくるのを感じます。他所で感じられ無いほど浄化された澄んだ空気感があり、そこから湧き上がる強いパワーが満ちているように感じます。これこそが、最高の贅沢なのかもしれません。どうりで富裕層が求めるわけですね。
オーハイの宿泊先 CASA OJAI INN

この日のホテルは、オーハイのダウンタウンから東に1㎞程走った所にある「CASA OJAI INN」。2階建てのモーテルです。部屋はクイーンサイズの2ベッドで、アーリーアメリカン仕様の無垢材家具を使った落ち着いた雰囲気です。コーヒーを飲んで一休みした後は、散策を兼ねてダウンタウンまで歩いて向かうことにしました。
オーハイのダウンタウンを散策



今は使われていないガソリンスタンドが哀愁を誘う
カリフォルニア・タパスの「AZU」

向かったのは、友人が「美味しい」と勧めてくれたカリフォルニア・タパスの「AZU」。間接照明の少し暗め店内は、入口にバーカウンターがどっしり構え、右側から奥にテーブル席が広がっています。

マスターの笑顔にドライブ初日の緊張と疲労が一気に癒されます。
⇒ AZU Restaurant のホームページ
⇒ 04. オーハイのメディテーション・マウンテンなどを巡る に続く
大安佐智 プロフィール

雑誌・web等に国内外の旅情を紹介するほか、舞台・映画などの脚本を手掛ける。
果て無く広がる青い空を見上げる。ただそれだけで、魔法に掛ったみたいに身体の奥底から元気が湧いてくる。その青空の中を、太陽の光を浴びてキラキラと輝きながら飛んでいく飛行機の姿があればもっといい。「そんな所で何してるの?早くおいでよ」。飛行機が私に語り掛けてくる。そして、私でも何か出来る!という勇気を与えてくれる。これが子供の頃から変わらない、私の元気の源。
オーハイの AZU の場所と行き方
AZU Restaurant & Ojai Valley Brewery 457 E Ojai Ave, Ojai, CA
マリブ・ピアから車(レンタカー)で行く場合の一例
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