メンフィス・ロックンソウル博物館 The Memphis Rock’n’Soul Museum

メンフィス・ロックンソウル博物館は、B.B.キング・ブルーバード(B.B.King Boulevard)沿い、Lt.ジョージWリー・アベニューとの三叉路、FedEx フォーラムの西にある音楽博物館です。ビールストリートからも歩いてすぐの所にあります。
⇒ メンフィス・ロックンソウル博物館 の場所と行き方

初期のロックンロールやソウルの録音はメンフィスで行われ、ブルースはビールストリートで大きく成長しました。これらのメンフィスの音楽物語に関して、充実した展示品で分かりやすく伝えてくれます。
中に入る時にヘッドセットを渡してくれます。展示物の所にある番号を押せば、説明や音楽が流れます。説明は英語ですが、日本語のガイドブック(ファイル)を借りることができます。ただし、所々で番号と日本語の説明内容がずれている場合があるので注意が必要です。(2018年8月現在の情報)
南部の生活とラジオ

中に入って最初にビデオを見ます。多くのレジェンドリーなミュージシャンのライブシーンが映し出されテンションが上がります。しかし、ビデオ試聴スペースを出て最初の展示が、1900年頃のそれほど裕福で無い一般家庭の生活の様子が展示されていて、かなり戸惑います。当時の南部にはほとんど娯楽が無く、キッチンで家族が集まりラジオを聴くぐらいの楽しみしかなかったそうです。

その後、ラジオだけでなく、レコードプレーヤーが居間やベッドルームに置かれ、レコードを聴く時代になります。新しい音楽などの情報元はラジオですが、手元にレコードとプレーヤーがあることにより、お気に入りの音楽を好きな時に聴くことができるようになりました。
旅するブルースマン

ブルースを演奏する黒人たちは、最初は綿花畑の労働後に家で演奏するぐらいでした。中にはジュークジョイントと言う酒場で演奏したり歌ったりしてお金を稼ぐ者も出てきました。デルタブルースと呼ばれた音楽はこのような形で、ミシシッピ州やテネシー州のジュークジョイントで産まれたのです。

ジュークジョイントで稼げるようになっても田舎町では限界があります。そこで、ブルースミュージシャン達は、より稼げるように大きな街であるメンフィスを目指し、黒人専用ホテルに宿泊してビールストリートなどで演奏しました。ロバート ジョンソンはメンフィスはもちろん、シカゴやテキサスなども旅して歌っていたことで有名ですね。
メンフィスのラジオ局

初めて黒人スタッフを起用したことで知られるWDIA放送局で使用されていたマイクが展示されています。WDIA放送局は1947年にオープンして、アメリカで初めてアフリカ系アメリカ人向けにプログラムされたラジオ局です。ブルースやソウルミュージック、ゴスペルなどの音楽はこのラジオ放送で一気に広がったのです。

女性だけのラジオ局 WHER の展示などもあり、ラジオがどれほど影響力があったが分かりますが、中でも WHBQ のDJ デューイ フィリップス(Dewey Phillips)は、リズム&ブルースをラジオで広めた最初のDJです。その彼が、エルビス プレスリーのデビュー曲「ザッツ・オール・ライト(That’s All Right)」(1954年リリース)を初めてラジオで流したのです。そして、そのラジオで火が付き「ザッツ・オール・ライト(That’s All Right)」がローカルヒットとなり、エルビス プレスリーが大スターへの第一歩を踏み出したのです。デューイ フィリップスは、2012年にメンフィス音楽大殿堂に殿堂入りしました。
ジュークボックスの進化

ジュークボックスも音楽が広まる要素の一つでした。最初の頃のジュークボックスはこのような派手な物では無かったのですが、ドクターペッパーのセールスマンがダラスのあるハンバーガレストランに立ち寄って販促ツールのサインを置かせて欲しいと言ったところ、お店の奥さんが忙しくて好きな所に置けば良いと言ったところ、お店の隅に置かれた黒いジュークボックスの上が平らだったので、その上に置きました。そのサインは点滅式の電飾サインだったそうです。数日後にジュークボックスの卸売業者がそのお店に寄ると、そのジュークボックスにお客さんが殺到していたので、その事をヒントにカラフルな光が付いたり消えたりするジュークボックスを開発したのだそうです。このジュークボックスは1946年製のWurlitzer社の物です。
メンフィスのレコードレーベル
サン・レコード (Sun Records)

サン・レコード (Sun Records)は、メンフィスを代表するレコードレーベルで、エルビス プレスリーのデビュー曲「ザッツ・オール・ライト(That’s All Right)」をレコーディングしリリースした事で有名です。カール パーキンス、ロイ オービソン、ジェリー リー ルイス、ジョニー キャッシュ等もサン・レコードから羽ばたいたミュージシャンたちです。(詳細は別のページで)
スタックス・レコード (Stax Records)

サザン・ソウル、メンフィス・ソウルと言えばスタックス・レコード (Stax Records)と言われるぐらいのレコード・レーベルです。ブッカーT&ザ MG’s、オーティス レディング 、アルバート キング、ルーファス トーマス、アイザック ヘイズなど挙げればキリがありません。(詳細は別のページで)
ハイ・レコード (Hi Records)

ハイ・レコード (Hi Records) も外すことが出来ないメンフィスのソウル系レコードレーベルです。アル グリーン、アン ピーブルスなどを輩出しました。(詳細は別のページで)
ワッツタックス Wattstax

1972年8月20日にカリフォルニア州 ロサンゼルスにあるロサンゼルス・メモリアル・コロシアムでスタックス・レコードが開催したコンサート『ワッツタックス(Wattstax)』に関する展示もありました。このコンサートはドキュメンタリー映画になりました。
1965年8月ワッツ市で白人警官の黒人に対する横暴な対応に耐えかねた黒人たちが起こしたワッツ暴動で破壊された街の再建チャリティーコンサートで10万人の黒人が集まったことから「黒いウッドストック」とも呼ばれています。
映画と音楽

映画を媒体に知名度が上がり、更に人気がでたミュージシャンと言えばエルビス プレスリーですね。エルビス プレスリーの出演映画に関する展示もありました。
他にも書き切れないぐらい、多くのミュージシャンや楽器などの展示もあり、見応え充分です。冒頭にも書きましたが、展示毎にいろいろな音楽を聞くことが出来るのでついつい引き込まれてしまいます。メンフィスのロックンロール、ソウルミュージック、ブルースが好きならじっくりと時間をかけてまわってください。新しい発見もあるでしょうし、更にメンフィスの音楽が好きになるはずです。
次回 ⇒ 25. クロスタウン コンコースでヘルシーランチ に続く
メンフィス・ロックンソウル博物館 の場所と行き方
The Memphis Rock’n’Soul Museum 191 Beale St, Memphis, TN
メンフィス国際空港からメンフィス・ロックンソウル博物館 へ、車(レンタカー)で行く場合の一例。
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