メンフィスで最古のレコーディング・スタジオ



ハイ・レコードの設立者の一人で実権を握っていたジョー カオーギ(Joe Coughi)が亡くなった1970年にウィリー ミッチェル氏が経営を引き継ぎ全盛を極めました。しかし、1970代半ばに起こったディスコ・ブームの陰に、従来のソウルやR&Bは埋もれていきました。ハイ・サウンドの人気も下降を辿り、1974年10月にアル グリーンはトラブルに巻き込まれ、ウィリー ミッチェル氏は1976年にレーベルを手放してしまいました。
1984年にウィリー ミッチェル氏はクリーム・レコード(Cream Records)からロイヤル・スタジオを買い戻して再びレコーディングを開始しました。
レコーディング・フロアの様子

ロイヤル・スタジオのレコーディング・フロアのレイアウトは、1969年にウィリー ミッチェル氏がデザインした時から今でも同じです。ウィリー ミッチェル氏は2010年に亡くなりましたが、2000年からスタジオのエンジニアとして手伝っていた息子さんのローレンス”ブー”ミッチェル(Lawrence”Boo”Mitchell)さんが跡を継いでいます。

このハモンドオルガンはドキュメンタリー映画「Take Me To The River」の中でブッカー・T.ジョーンズが演奏していたものです。


ドラムやギターのレコーディングブースはコントロールルームの窓からはデッドな位置にあるので見えませんが、ボーカル用レコーディング・ブースの窓とコントロールルームの窓は向かい合わせになっています。

このコカ・コーラの木箱はアル グリーンの「Love and Happiness」(1972年)のレコーディングの際に、この木箱を踏んで曲の出だしのカウントを取ったそうです。その音はレコードで聞くことができます。その時の木箱が今でもスタジオにあるのは驚きました。

スタジオ内にはアル グリーンに関係するゴールドディスクやアワードのトロフィーや多くの写真などが飾られています。
ロイヤル スタジオでレコーディングしたミュージシャン

ロイヤル スタジオの表の壁画には、ウィリー ミッチェル氏を中心に、アル グリーン、アン ピーブルズ、シル ジョンスン、オーティス クレイ、O.V.ライト、ティナ ターナー、ソロモン バーク、キース リチャーズ、ポール ロジャース 、ロッド スチュワートなどのロイヤル スタジオでレコーディングしたミュージシャンたちの似顔絵が描かれています。
他に、ロイヤル スタジオでレコーディングした代表的なミュージシャンは、チャック ベリー、ジョン メイヤー、バディ ガイ、ロバート クレイ、オーティス ラッシュ、ボズ スキャッグス、トム ジョーンズ、アクセル レッド、ボビー ブランド、クリフ リチャード、コーディ チェズナット、バンドではマイ・モーニング・ジャケット、デ・ラ・ソウルなどが挙げられます。
日本人のミュージシャンでは、Oritoの『Soul Joint』(1995年)がロイヤルスタジオのホームページで紹介されています。このアルバムは全編ウイリー ミッチェル氏のプロデュースでアル グリーンの「Let’s Stay Together」のカヴァーが収録されています。
ロイヤルスタジオの見学に関して
ロイヤルスタジオは、現役のレコーディングスタジオとして稼働しているスタジオで観光スポットではありません。なので、突然に訪問してもスタジオ内部を見学できる訳ではありませんのでご注意ください。
音楽ファンの方が、外観を記念撮影しに行くのは自由ですが、メンフィスのダウンタウンとロイヤルスタジオの途中に治安があまり良くない地域が含まれるので、徒歩で行き来きしない方が良いでしょう。
次回 ⇒ 50. ローレンス“ブー”ミッチェル氏 に続く
ロイヤルスタジオの場所と行き方
Royal Studios 1320 Willie Mitchell Blvd, Memphis, TN
メンフィス国際空港からロイヤルスタジオへ、車(レンタカー)で行く場合の一例。
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