ニューオリンズ・ファンク

ニューオーリンズ発祥の音楽

ニューオーリンズと言えば、ニューオリンズ・ジャズが有名で、ジャズの発祥地とされています。音楽があふれる街、ニューオーリンズに行けば、ジャズだけでなくロックンロールやブルースも盛んです。
その中でも、ニューオリンズ・ファンクは強烈な印象を受ける事でしょう。

ワイルド・マグノリアスニューオリンズ・ファンクは、マルディグラ・インディアンの音楽です。
よくニューオーリンズの写真で、羽根やビーズで彩られた派手で大きな衣装に身を包まれたマルディグラ・インディアンが紹介されています。
マルディグラ・インディアンは、西部のネイティブ・アメリカンとかなり印象が違います。
特に違和感を感じるのは、肌の色と顔つきでしょう。マルディグラ・インディアンは、見た目がアフリカ系アメリカ人(黒人)の様な人が多いのです。

マルディグラ・インディアンの歴史

マルディグラ・インディアンアメリカの先住民であるネイティブ・アメリカンは、開拓のために白人に居場所を奪われました。ニューオーリンズでも、ネイティブ・アメリカンは、過ごしやすい土地から追い出されました。
 
一方、アフリカから連れてこられた黒人奴隷は、白人の支配から逃れるために脱走しますが、捕まればリンチにあいます。上手く逃げれたと思っても、逃げる方向を間違えると食べ物も水もないところで飢え死にする危険も有ります。その様な状況で逃げ延び、生き残れた黒人奴隷の多くは、ネイティブ・アメリカンのトライブ(集落)に逃げ込んだ人達です。
白人と対立的立場にあるネイティブ・アメリカンは、逃げてくる黒人奴隷達を匿まってくれたのでした。
ネイティブ・アメリカンのトライブ(集落)では、ネイティブ・アメリカンと黒人奴隷の共存関係が成り立ち、混血化もすすみます。誇り高きネイティブ・アメリカンの血と、身体能力の高いアフリカ人の血を受け継いだのが、マルディグラ・インディアンなのです。
 
マルディグラ・インディアンの間で、ネイティブ・アメリカンのチャント(祈り)と、アフリカ人が打楽器で叩き出すアフロ・ビートが融合します。これが、ニューオリンズ・ファンクの原点となります。
この打楽器によるリズムに乗ったチャント(祈り)は、音楽としては原始的なものでしたが、他の楽器などが加わることにより、チャント(祈り)もメロディアスになって行きます。

ワイルド・マグノリアス

ワイルド・マグノリアスニューオーリンズの名物プロデューサー、クイント・ディヴィスが、ワイルド・マグノリアスというトライブ(集落)をプロデュースして、マルディグラ・インディアン初の録音が行われました。
1974年、ワイルド・マグノリアスの1stアルバム『The Wild Magnolias』が発表されます。1975年には、2ndアルバム『THEY CALL US WILD』が発表され、この2枚のアルバムで展開される濃密にうねるファンクのリズムは強烈な印象を残しました。
1990年代、日本のギタリスト 山岸潤史氏がニューオーリンズでワイルド・マグノリアスとセッションを目的に渡米します。そして、ワイルド・マグノリアスに正式参加します。ワイルド・マグノリアスに参加するのは、一般的なバンドへの参加とは意味が異なり、部族の一員になる事を認められなくてはなりません。山岸氏は、日本で初めて誇り高いマルディグラ・インディアンになった人です。

 

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